針葉樹材一辺倒の人工林
10,000年前頃氷河期が終わり日本の国土が暖かくなりはじめたところ、森は針葉樹林から落葉広葉樹林に、そして照葉樹林に変わっていったと考えられます。人間も洞窟の生活から解放され竪穴式住居などの建築物の移り住むようになってきました。食事にもナラやカシの実のあくを取り除き食べていたようです。したがって当時の木材には、落葉広葉樹や照葉樹が使用され、針葉樹はあまり利用されていなかったのはないかと考えられます。
針葉樹が本格的に使われだしたのは、飛鳥時代の法隆寺が、現存する世界最古の木造建築物として有名ですが、その前あたりから使用されだしたのではないかと考えます。広葉樹と比べ針葉樹は、木の曲がり少なく背が高くて大きな建築物に打って附けの材料だったのではないでしょうか。塔や堂そして藍などの大きな建築物を築造し、権力を誇示するために、奈良を中心に仏教寺院を建て、やがて国分寺なるものを日本全国に広げていったようです。ただし、一般民家は特別なものを除き、広葉樹を中心に使用していたのではないかと思います。このように、つい最近まで、神社や寺以外の建築物は広葉樹材を多く使用していました。もともと日本には広葉樹林が多く、今でこそ私たち車窓から見えるところは、針葉樹林が多く見られますが、それらはほとんどが人工林です。ゆえに今では、こぶしや楢や栗の太い木は運び出しができないような山奥にしか見られず、貴重材となってしまいました。針葉樹材にも広葉樹材にもそれぞれ良いところがあるにもかかわらず、なぜ針葉樹材一辺倒になってしまったのでしょうか。
1. 日本風土と建築物
1-1. 高温多湿な日本
1-2. 現代建築の憂い
2. 素材へのこだわり「木の話」
2-1. 日本の森
2-2. 木の癖
2-3. 古い材は宝もの
2-4. 木のサイクル
3. ご提案
3-1. 修復・再生の必要性
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